こんにちはKoh(@misc_log)です。
先日友人から、「iPhoneを急速充電するには、何が必要でどうすればいいの?」と質問されたのですが、思いのほか回答に苦労しました。
一概に急速充電と言っても意外とややこしい前提があったりするので、下記のことについてわかりやすくまとめました。
- iPhoneの急速充電ってどういうこと?
- どのくらいの時間で充電できるのか?
- iPhoneを急速充電するため必要なものとおすすめアイテム
なお、本記事はUSB PD(Power Delivery)を前提としていますが「USB-PD is 何?」という方に向けても、可能な限り話を簡単にして解説します。
前提として、急速充電できるiPhoneは機種が限られておりiPhone 8以降が対象です。
- iPhone 8 / 8 Plus
- iPhone X
- iPhone XR
- iPhone XS / XS Max
- iPhone 11
- iPhone 11 Pro / Pro Max
- iPhone SE (第2世代)
- iPhone 12
- iPhone 12 Pro / Pro Max
バッテリーマネジメントがうまくいくともっとiPhoneを楽しめると思うので、参考になれば。
iPhoneを急速充電するとはどういうことなのか?
実はどこからが急速なのかは僕も知りません。とにかく、iPhoneが受け入れられる上限値の電力で充電することを「急速充電」と言います。
各iPhoneの上限はだいたいこのくらい。
iPhone | 上限 |
---|---|
iPhone 8 〜 iPhone 11 | 約18W |
iPhone 12シリーズ | 約20W |
約18W〜20Wという出力で充電すれば、より短時間で急速充電することができます。
急速充電はどのくらいの時間で充電できるの?
上限で充電すると、ざっくりこのくらいの急速充電ができます。
- 30分で0%→50%
- 2時間強で満充電
もちろん機種にもよりますが、30分で50%回復できるため急いでいるときにかなり便利。
「あれ、30分で0%→50%になるなら、1時間で100%になるんじゃないの?」と思うじゃないですか?
実は、そうはならないんです。フル充電までは2時間以上かかります。
これはぜひ覚えて帰って欲しいポイントなんですが、急速充電だからといってバッテリー0%→100%までを爆速で充電できるわけではありません。
急速充電は100%まで爆速なわけではない

リチウムイオン電池が搭載された多くのデジタルデバイスは状態が管理されており、7、80%くらいまでは急速で充電されますが、そこから先の100%までは充電スピードがガタ落ちします。
これをトリクル充電と言って、約80%以降はバッテリー保護のためデバイス側で強制的に電流を抑える仕様が組み込まれています。
そのため、iPhoneは急速充電すると30分で約50%のバッテリーを回復させることが可能ですが、「じゃあ1時間で100%じゃん」ということにはなりません。
急速充電とは、バッテリー0%から最初の1時間くらいがとてつもなく早い。
そのため、寝る前に充電し忘れたiPhoneやiPadを出勤前の10分間だけ充電するとか、これから外出だけど充電してなかったみたいなシチュエーションでめちゃくちゃ活躍します。
いくら上限の電力で充電したところで、「今バッテリー90%なんだけど、すぐに100%にしたい」みたいことにはあまり効果がありません。
というわけで、ここまでを一旦まとめます。
- iPhoneの上限である約18W〜20Wで充電するのが急速充電。
- 急速充電は30分で50%の充電が可能。
- 100%までずっと速いわけではない。
iPhoneを急速充電するために必要なもの
急速充電についてざっくりわかったところで、「じゃあ一体何があれば急速充電できるの?」ということについてまとめます。
必要なものはこの2つ。
- USB PD対応急速充電器
- USB-C to Lightningケーブル
iPhoneの上限である18W〜20Wの充電器とケーブル。充電器はPD対応のものが必要です。
USB PDとは?
急速充電に必要になる「USB PD」についてざっくりと解説します。
「PD」とはPower Deliveryの略で、従来のUSBよりも大きな電力の供給を可能にした規格です。このUSB PDは、USB-Cというコネクタで動作します。
USB-CとはUSBの規格の一種で、裏表がなく平べったい形状のUSBです。

MacBookやノートPCによく採用されています。iPad Pro 2018 / 2020もUSB-C端子を持ってます。

USB-CだからといってUSB PDとは限りませんが、これ以上はややこしくなるのであまり気にしなくていいです。
とにかく、PD対応した充電器とケーブルがあればiPhoneを急速充電することができます。
付属のものではダメなの?
よく「iPhone付属のものじゃダメなの?」と聞かれるのですが、だいたいの場合、別に買う必要があります。
なぜ別に買う必要があるかというと、付属充電器では単純に出力が足りないからです。
付属充電器の出力はiPhoneによって異なり、下記がその一覧です。
iPhone | 付属充電器の出力 |
---|---|
iPhone 8 / 8 Plus | 5W |
iPhone X | 5W |
iPhone XR | 5W |
iPhone XS / XS Max | 5W |
iPhone SE (第2世代) | 5W |
iPhone 11 | 5W |
iPhone 11 Pro / Pro Max | 18W |
iPhone 12 / Pro / Pro Max | 付属しない |
iPhone 11はProかProじゃないかで出力が変わり、最新であるiPhone 12シリーズに至っては充電器が付属しません。
最も馴染みが深いのはこの5Wのタイプだと思いますが、この充電器は弱すぎます。

もしこれを持っている人がいたら、今すぐ捨てるか、寝室に持っていきましょう。
例えば、iPhone 8をこの充電器で充電すると満充電まで3時間以上、iPhone XS Maxだと3時間30分以上かかります。
そのため、もし使うなら長時間とどまるであろう場所で使用するのがベスト。つまり、寝室が最適。4時間以上寝るのであれば付属充電器での充電でも十分。
話を戻すと、付属の充電アダプタでは出力が足りないため買う必要があり、それに合わせたケーブルも必要です。
しかし、ここがまたややこしいところなんですが、揃えるものはiPhoneによって変わってきます。下記にまとめました。
iPhone | ケーブル | 充電器 |
---|---|---|
iPhone 8 / 8 Plus | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone X | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone XR | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone XS / XS Max | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone SE (第2世代) | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone 11 | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone 11 Pro / Pro Max | 買う必要なし | 買う必要なし |
iPhone 12 / Pro / Pro Max | 買う必要なし | 買う必要あり |
- iPhone 11 Pro / Pro Maxユーザーは何かを買う必要はありません。付属品だけで急速充電可能です。
- iPhone 12シリーズのユーザーは、充電器だけ買う必要があります。
- それ以外のiPhoneユーザーはケーブルも充電器も買う必要があります。
USB PD対応急速充電器の選び方
では次に「急速充電器はどうやって選べばいいの?」について解説します。
結論を言うと、USB-Cポートを備えた「18W以上」の充電器を購入してください。

出力を上回る分には問題ありません。例えば、60W出力の充電器を使っても大丈夫ですが、結局上限である18W~20W程度で充電されることになります。
あまりに高出力すぎてもiPhoneの急速充電という観点では無意味で、価格も高くなるだけなので、20W前後がおすすめです。
逆に18W以下の充電器だと出力が足りず最大効率を出せないので注意して下さい。
USB-C to LightningケーブルはMFI認証を受けたものがいい
次にケーブル。片方がUSB-C、片方がLightningになっている「USB-C to Lightningケーブル」が必要です。
そして、ケーブルを買う際は「MFI認証」を受けたものを買うほうがいいです。
MFI認証とはMade For iPhoneと言って、要はAppleの審査基準をクリアした製品ですよという事です。

MFI認証がないとどうなるかというと、iOSのアップデートで使用できなくなったり、充電異常を引き起こす可能性があります。
意外と忘れがちですが、リチウムイオンバッテリーって割と危険物ですからね。MFI認証があれば一定の安心感は得られます。
例えば、Anker製だとこちら。

片方がUSB-Cで片方がLightning。

もちろんAppleからも販売されてますが結構高いので、Amazonあたりで買うのが安上がり。
いずれにしろ、USB-C to Lightningケーブルが必要で、Amazonとかで買う際は「MFI認証」と書いてあるものを買ってください。
iPhoneの急速充電におすすめのアイテム
ここまでを踏まえ、条件を満たすおすすめアイテムを紹介します。僕が実際に使ってきた中で特に優れていると感じたアイテムに絞ってます。
Anker PowerPort III Nano 20W
Anker PowerPort III NanoはiPhone 12にも対応可能な20Wの急速充電器。信じられないほど小型なのが特徴。

iPhone用の5W充電器とほぼ同じサイズで、出力は4倍の20W。

iPhone 12シリーズも最大効率で急速充電でき、その上小さくて軽い、そして安い。

ただ、プラグが折りたためないのでそれが微妙に残念ですが、iPhoneの急速充電という意味では、今最も良いかもしれない。
AUKEY PA-Y19
AUKEY PA-Y19は30Wクラスで現環境トップクラスに小さいUSB充電器。
30Wなので、iPhone以外にもiPadやMacBook Airも充電できます。

このサイズ感は本当にすごい。iPhone付属の5W充電器を少し大きくしたサイズ感で、出力はなんと6倍。

しかもプラグ折りたたみ式でかさばらない。

恐ろしいほど小型で軽量、そしてハイパワーな次世代充電器。iPhoneの急速充電はもちろんiPad Proも急速充電可能。
RAVPower RP-PC144
RP-PC144はRAVPowerの最大30Wの2ポート充電器。

USB-CポートとUSB-Aポートの2つを備え、iPhoneを急速充電しながら何かのデバイスを同時充電可能。

とてもコンパクトで持ち運び性能も高く、使い勝手の良い充電器です。
非常にコスパがよく、2,000円ちょっとで購入できるのも嬉しい。そして今ならクーポンでさらにお買い得。
期間限定でかなり検討しやすい価格になっているので、ぜひチェックしてみて下さい。
Anker PowerCore III Fusion 5000 & PowerCore Fusion 10000
Ankerの大人気USB充電器。なんとモバイルバッテリーを内蔵してます。

USB-CとUSB-Aの2ポートを備えた充電器で、充電器として使っていればモバイルバッテリーの充電もできるという優れもの。

自宅やオフィスで充電器として使い、外出するときはコンセントから抜いて持ち出せばそのままモバイルバッテリーにもなる最強の運用スタイルを実現。

「モバイルバッテリーの充電しなきゃ」とか考える必要がないため、本当に楽。
このPowerCore Fusionシリーズは容量が2種類あります。
- iPhoneを約1回充電できる5,000mAhタイプ
- iPhoneを約2回充電できる10,000mAhタイプ
大きいほうが一概に良いとは言えず、大きい分だけサイズと重さも増えることになります。こちらがサイズ比較したものです。

iPhone1回しか充電できないのが心もとない人は大きい方を。1回で十分という人は5,000mAhを選びましょう。
いずれにしろ、自宅でも外出先でもiPhoneを急速充電でき、充電器と一体型なので使い勝手は抜群です。
5,000mAh
10,000mAh
RAVPower RP-PB186(リニューアル版)
RAVPowerの大人気モバイルバッテリー「RP-PB186」。

10,000mAhの大容量でiPhoneを何度かフル充電できます。充電できる回数はざっと下記の表くらい。
デバイス | 回数 |
---|---|
iPhone 11 / Pro | 約2回 |
iPhone SE(第2世代) | 約3回以上 |
iPad Pro 2018 / 2020 (11 / 12.9インチ) | 約0.7〜0.8回 |
iPhone X、XR、XSあたりは2回強くらいは充電できるはず。
ポートは使いやすいUSB-CとUSB-Aの2ポート。

USB-Cポートは最大18W出力なのでiPhoneを急速充電可能です。

モバイルバッテリーは運用しやすさが大事。デカくて重いものを毎日持ち歩くのは苦痛ですからね。
その点、このRP-PB186ならコンパクトでポーチの中でもかさばらない。iPhone約2回分がこのサイズで収まります。

iPhoneはもちろん、AirPodsなど、小型デジタルデバイスをよく持ち歩く人におすすめです。
実際にiPhoneを急速充電した結果
実際にiPhoneを急速充電するとどの程度の時間で充電できるのか参考までに。
使用したものは下記。
iPhone | iPhone XS Max |
急速充電器 | Anker PowerPort Speed 1 PD 30 |
ケーブル | Anker PowerLine II USB-C & ライトニング ケーブル |
バッテリー残量「1%」の瀕死iPhoneを急速充電します。

充電から約5分経過で10%

充電から約10分経過で19%

充電から約20分経過で35%

約30分で52%。半分まで充電完了。

充電から約1時間で79%

もうこの時点で充電スピードは落ち始めていてここから先は長いです。
充電から約1時間50分で97%

結局100%に到達したのは、充電開始から約2時間6分後でした。

まとめるとこのような感じ。
経過時間 | バッテリー残量 |
---|---|
– | 1% |
約10分 | 19% |
約20分 | 35% |
約30分 | 52% |
約1時間 | 79% |
約1時間50分 | 97% |
約2時間6分 | 100% |
100%までは約2時間6分でした。
付属充電器だと3時間以上かかるのでかなり早い結果ですが、やはり爆速なのは1時間経過くらいまでのあたり。
80%〜100%までの充電に、1%〜80%までとだいたい同じくらいの時間がかかっており、80%以降は大幅にスピードが落ちているのがわかると思います。
iPhoneを急速充電するために知っておきたい基本的なことまとめ
最後におさらいすると、急速充電は短い時間で多くのバッテリーを確保することが可能。
ただ、0〜100%間を急速に充電するわけではなく80%程度までが早いというのが急速充電です。
また、iPhoneの急速充電できるのはiPhone 8以降の端末であり、下記のものが必要。
- USB-C to Lightningケーブル
- USB PD対応急速充電器
ただし、iPhone 11 Pro / Pro Maxは付属充電器とケーブルで急速充電が可能。
iPhone 12シリーズは、ケーブルは付属する。充電器だけ購入が必要。
以上がまとめです。
やはりデジタルデバイスはバッテリーがあってこそなので、急速充電可能な状態を作っておくとバッテリー管理が劇的に楽になり、「充電切れで使えない」という瞬間を減らせるはず。
ちなみにiPhone 12シリーズはMagSafeというワイヤレスで割と早く充電できる仕組みも搭載されました。興味がある人はこちらもどうぞ。
ということで、ぜひiPhoneの急速充電を試してみてください。
今日は以上です。それではまた。
紹介したアイテム
20W充電器で世界最小・最軽量
30W充電器で世界最小・最軽量
モバイルバッテリー内蔵充電器
コンパクトな大容量モバイルバッテリー
USB-C to Lightningケーブル
iPhoneはワイヤレス充電も可能!
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