こんにちはKoh(@misc_log)です。
先日友人からiPhoneを急速充電するためには「何が必要で、どうすればいいのか」と質問されました。
説明してみると確かにいろいろとややこしい前提を踏まえなければならず回答に苦労したので、iPhoneを急速充電するために最低限知っておきたい知識と必要なものをわかりやすくまとめました。
なお、本記事はUSB PD(Power Delivery)を前提としていますが「USB-PD is 何」という方に向けても、可能な限り話を簡単にして解説します。
前提として、急速充電できるiPhoneは機種が限られておりiPhone 8以降が対象です。
- iPhone 8 / 8 Plus
- iPhone X
- iPhone XR
- iPhone XS / XS Max
- iPhone 11
- iPhone 11 Pro / Pro Max
- iPhone SE (第2世代)
- iPhone 12
- iPhone 12 Pro / Pro Max
これらの機種に絞った話になるのでご了承ください。
バッテリーマネジメントがうまくいくともっとiPhoneを楽しめると思うので、バッテリー管理を少しでも楽にするための急速充電について解説します。
iPhoneを急速充電するとはどういうことか
まず最初に結論を言うと、iPhoneを急速充電するには「高出力」な充電器と対応するケーブルで充電すればいいだけです。

しかし、前提がそれなりにいろいろあるので、可能な限りややこしいことを省き簡単に解説します。
- 100%まで急速充電するわけではない
- どの程度の出力の充電器が必要か
- どんなケーブルが必要か
- どのくらいの時間で充電できるのか
これらのトピックについて書いてますので、参考にしてみてください。
付属充電器の出力はiPhoneごとに異なる
iPhoneを購入すると付属充電器が付いてきますが、「出力」は購入するiPhoneによって異なります。
iPhone | 付属充電器の出力 |
---|---|
iPhone 8 / 8 Plus | 5W |
iPhone X | 5W |
iPhone XR | 5W |
iPhone XS / XS Max | 5W |
iPhone SE (第2世代) | 5W |
iPhone 11 | 5W |
iPhone 11 Pro / Pro Max | 18W |
iPhone 12 / Pro / Pro Max | 付属しない |
最新であるiPhone 12シリーズに至っては充電器が付属しなくなり、iPhone 11はProかProじゃないかで出力が変わってきます。
馴染みが深いのはこの5Wのタイプだと思いますが、この充電器はすぐ捨てるか、寝室に持っていきましょう。

この充電器は、完全にスペック不足です。
例えば、iPhone 8をこの充電器で充電すると満充電まで3時間以上、iPhone XS Maxだと3時間30分以上かかります。
そのため、使うなら長時間とどまるであろう場所で使用するのがベスト。つまり、寝室が最適です。
睡眠時間は人それぞれですが、4時間以上寝るのであれば付属充電器での充電でも十分。
つまり、絶対にその場所から長時間動かないことが確定しているのであれば、別に急速充電である必要はそんなにありません。
一方で、急速充電は下記のようなシチュエーションでとても便利です。
- 寝る時に充電を忘れたので出勤前に充電したい
- もうすぐ外出なのにバッテリーがない
- 外出先でバッテリーが切れそう/ 切れた
などなど、「ゆっくりしてる時間はない、短い時間でなるべくたくさん充電したい」という時に急速充電が活躍します。
急速充電は100%まで爆速なわけではない
これはぜひ覚えて帰って欲しいんですが、実はiPhoneの急速充電は0%→100%までを爆速で充電するわけではないです。

リチウムイオン電池が搭載された多くのデジタルデバイスは状態が管理されており、7、80%くらいまでは急速で充電されますが、そこから先の100%までは充電スピードがガタ落ちします。
これをトリクル充電と言って、約80%以降はバッテリー保護のためデバイス側で強制的に電流を抑える仕様が組み込まれています。
そのため、iPhoneは急速充電すると30分で約50%のバッテリーを回復させることが可能ですが、「じゃあ1時間で100%じゃん」ということにはなりません。
もちろんトータルでみても付属充電器よりはかなり早くなりますが、急速充電とは、バッテリー0%から最初の1時間くらいがとてつもなく早い。
そのため、寝る前に充電し忘れたiPhoneやiPadを出勤前の10分間だけ充電するとか、これから外出だけど充電してなかったみたいなシチュエーションでめちゃくちゃ活躍します。
iPhoneを急速充電するために必要なもの
では、iPhoneを急速充電するために何が必要なのかについて解説します。
- USB-C to Lightningケーブル
- USB PD対応急速充電器
そして、ここがまたややこしいところなんですが、揃えるものはiPhoneによって変わってきます。下記にまとめました。
iPhone | ケーブル | 充電器 |
---|---|---|
iPhone 8 / 8 Plus | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone X | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone XR | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone XS / XS Max | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone SE (第2世代) | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone 11 | 買う必要あり | 買う必要あり |
iPhone 11 Pro / Pro Max | 買う必要なし | 買う必要なし |
iPhone 12 / Pro / Pro Max | 買う必要なし | 買う必要あり |
- iPhone 11 Pro / Pro Maxユーザーは何かを買う必要はありません。付属品だけで急速充電可能です。
- iPhone 12シリーズのユーザーは、充電器だけ買う必要があります。
- それ以外のiPhoneユーザーはケーブルも充電器も買う必要があります。
USB PDとは?
買う、買わないがわかったところで、急速充電に必要になる「USB PD」についてざっくりと解説します。
「USB PD」のPDとはPower Deliveryの略で、従来のUSBよりも大きな電力の供給を可能にした規格です。
このUSB PDは、USB-Cというコネクタで動作します。
USB-CとはUSBの規格の一種で、裏表がなく平べったい形状のUSBです。

MacBookやノートPCによく採用されています。iPad Pro 2018 / 2020もUSB-C端子を持ってます。

USB-CだからといってUSB PDとは限りませんが、これ以上はややこしくなるのであまり気にしなくていいです。
とにかく、PD対応した充電器とケーブルがあればiPhoneを急速充電することができます。
USB-C to LightningケーブルはMFI認証を受けたものがいい
USB PDについてざっくりと理解したところで、必要なケーブルについて補足します。
ちなみに、ケーブルを買う必要があるiPhoneユーザー以外は読む必要はないと思います。>>次に飛ぶ
iPhoneの急速充電には、片方がUSB-C、片方がLightningになっている「USB-C to Lightningケーブル」が必要です。
で、このケーブルはこれまでApple純正のものを買うしかなかった。
正確に言うと純正以外にもあったんですが、MFI認証を受けたものではなかったんですね。
MFI認証とはMade For iPhoneと言って、要はAppleの審査基準をクリアした製品ですよという事です。

MFI認証がないとどうなるかというと、iOSのアップデートで使用できなくなったり、充電異常を引き起こす可能性があります。
意外と忘れがちですが、リチウムイオンバッテリーって割と危険物ですからね。MFI認証があれば一定の安心感は得られます。
例えば、Anker製だとこちら。

片方がUSB-Cで片方がLightning。

もちろんAppleからも販売されてますが結構高いので、Amazonあたりで買うのが安上がり。
いずれにしろ、USB-C to Lightningケーブルが必要で、Amazonとかで買う際は「MFI認証」と書いてあるものを買ってください。
USB PD対応急速充電器の選び方
必要なケーブルがわかったところで、次は充電器。
USB-Cポートを備えた「18W以上」の充電器を購入してください。
PDによる急速充電に対応しているiPhoneはだいたい18W程度が上限です。
例えば、60W出力の充電器を使っても問題ないですが、結局約18W程度で充電されることになります。
そのためあまり大きい出力のものを買ってもiPhoneの急速充電という観点では無意味。高くなるだけです。
逆に18W以下の充電器だと出力が足りず最大効率を出せないので、購入する際は18W〜30W程度を目安にすると良いと思います。
iPhoneは現状18W〜20Wが上限!
いろいろな種類があるんですが、その中からおすすめ充電器を少しだけ紹介します。
Anker PowerPort III Nano 20W
iPhone 12にも対応可能な20Wの急速充電器。

iPhone用の5W充電器とほぼ同じサイズで、出力は4倍の20W。

iPhone 12シリーズも最大効率で急速充電でき、その上小さくて軽い、そして安い。

ただ、プラグが折りたためないのでそれが微妙に残念ですが、iPhoneの急速充電という意味ではこれが今一番いいかもしれない。
AUKEY PA-Y19
AUKEY PA-Y19は30Wクラスで現環境トップクラスに小さいUSB充電器。
30Wなので、iPhone以外にもiPadやMacBook Airも充電できます。

このサイズ感は本当にすごい。iPhone付属の5W充電器を少し大きくしたサイズ感で、出力はなんと6倍。

しかもプラグ折りたたみ式でかさばらない。

恐ろしいほど小型で軽量、そしてハイパワーな次世代充電器。iPhoneの急速充電はもちろんiPad Proも急速充電可能。
Anker PowerCore III Fusion 5000
こちらはAnkerの大人気USB充電器。なんとモバイルバッテリーを内蔵してます。

18W出力のUSB-Cと12WのUSB-Aの2ポートを備えた充電器で、充電器として使っていればモバイルバッテリーの充電もできるという優れもの。

自宅やオフィスで充電器として使い、外出するときはコンセントから抜いて持ち出せばそのままモバイルバッテリーにもなる最強の運用スタイルを実現。

「モバイルバッテリーの充電しなきゃ」とか考える必要がないため、本当に楽。
モバイルバッテリーとしての容量はそんなに大きくないですが、iPhoneであれば約1回〜1.8回(機種による)充電できるので、普段使いにちょうどいい。

自宅でも外出先でもiPhoneを急速充電でき、USB-Aポートも持っているのでめちゃくちゃ使い勝手がいい充電器です。
RAVPower RP-PB186(リニューアル版)
持ち運び可能なモバイルバッテリーで容量の大きいものがよければこちらがおすすめ。
RAVPowerの大人気モバイルバッテリーである「RP-PB186」のリニューアル版。

10,000mAhの大容量でiPhoneを何度かフル充電できます。充電できる回数はざっと下記の表くらい。
デバイス | 回数 |
---|---|
iPhone 11 / Pro | 約2回 |
iPhone SE(第2世代) | 約3回以上 |
iPad Pro 2018 / 2020 (11 / 12.9インチ) | 約0.7〜0.8回 |
iPhone X、XR、XSあたりは2回強くらいは充電できるはず。
ポートは使いやすいUSB-CとUSB-Aの2ポート。

USB-Cポートは最大18W出力なのでiPhoneを急速充電可能です。

モバイルバッテリーは運用しやすさが大事。デカくて重いものを毎日持ち歩くのは苦痛ですからね。
その点、このRP-PB186ならコンパクトでポーチの中でもかさばらない。iPhone約2回分がこのサイズで収まります。

iPhoneはもちろん、AirPodsなど、小型デジタルデバイスをよく持ち歩く人におすすめです。
iPhoneを急速充電してみる
実際にiPhoneを急速充電するとどの程度の時間で充電できるのか参考までに。
使用したものは下記。
iPhone | iPhone XS Max |
急速充電器 | Anker PowerPort Speed 1 PD 30 |
ケーブル | Anker PowerLine II USB-C & ライトニング ケーブル |
バッテリー残量「1%」の瀕死iPhoneを急速充電します。

充電から約5分経過で10%

充電から約10分経過で19%

充電から約20分経過で35%

約30分で52%。半分まで充電完了。

充電から約1時間で79%

もうこの時点で充電スピードは落ち始めていてここから先は長いです。
充電から約1時間50分で97%

結局100%に到達したのは、充電開始から約2時間6分後でした。

まとめるとこのような感じ。
経過時間 | バッテリー残量 |
---|---|
– | 1% |
約10分 | 19% |
約20分 | 35% |
約30分 | 52% |
約1時間 | 79% |
約1時間50分 | 97% |
約2時間6分 | 100% |
100%までは約2時間6分でした。
付属充電器だと3時間以上かかるのでかなり早い結果ですが、やはり爆速なのは1時間経過くらいまでのあたり。
80%〜100%までの充電に、1%〜80%までとだいたい同じくらいの時間がかかっており、80%以降は大幅にスピードが落ちているのがわかると思います。
iPhoneを急速充電するために知っておきたい基本的なことまとめ
最後におさらいすると、急速充電は短い時間で多くのバッテリーを確保することが可能。
ただ、0〜100%間を急速に充電するわけではなく80%程度までが早いというのが急速充電です。
また、iPhoneの急速充電できるのはiPhone 8以降の端末であり、下記のものが必要。
- USB-C to Lightningケーブル
- USB PD対応急速充電器
ただし、iPhone 11 Pro / Pro Maxは付属充電器とケーブルで急速充電が可能。
iPhone 12シリーズは、ケーブルは付属するので充電器だけ購入が必要。
以上がまとめです。
やはりデジタルデバイスはバッテリーがあってこそなので、急速充電可能な状態を作っておくとバッテリー管理が劇的に楽になり、「充電切れで使えない」という瞬間を減らせるはず。
ちなみにiPhone 12シリーズはMagSafeというワイヤレスで割と早く充電できる仕組みが搭載されました。興味がある人はこちらもどうぞ。
ということで、ぜひiPhoneの急速充電を試してみてください。
今日は以上です。それではまた。
紹介したアイテム
20W充電器で世界最小・最軽量
30W充電器で世界最小・最軽量
モバイルバッテリー内蔵充電器
コンパクトな大容量モバイルバッテリー
USB-C to Lightningケーブル
iPhoneはワイヤレス充電も可能!
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